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KBEAR Lark レビュー「この価格帯では珍しい、ハイブリッドらしい自然なサウンドを楽しめるイヤホン」

KBEAR LarkはKBEARブランドの中で低価格帯を受け持つKS2をベースとした一連のシリーズの一つです。AmazonではWTSUN Audioより3599円で販売されています。
Larkは1BA+1DDのドライバー構成やハウジングの一部をKS2と同じものとしていますが、フェイスプレートやドライバーに使用されている素材が変更されています。
パッケージも3000円台のイヤホンにしてはかなり豪華な仕様となっています。KS2から僅かに増えた価格は、しっかりと製品に反映されているようです。

フェイスプレートはプラスチックから亜鉛合金製に変更され高級感を感じるデザインになりました。筐体内での共振を抑える効果も期待できそうです。
ドライバーはどちらも複合振動板を採用した10mmダイナミックドライバーを筐体内、高域用のBAドライバーをノズル内に配置する構成は変わりませんが、ドライバー本体の素材やチューニングが変更されています。

イヤーピース2色3サイズにイヤホンとケーブルをしっかりと収納できるサイズのケースが付属し、ケーブルは銀メッキ4芯ケーブルが採用されています。イヤーピースの装着感はイマイチのためKBEAR 07などに交換することをおすすめします。

Larkの音質は、KS2で好評だったバランス重視で整ったサウンドという方向性を保ちつつ、よりタイトでレスポンスの良い音に仕上げられています。
言ってしまえば普通の音なのですが、3千円台という価格の枠を超えた高い完成度を感じます。正にKS2のブラッシュアップ版と呼ぶに相応しいサウンドでしょう。いかにもな元気系ドンシャリサウンドと比べると物足りないと感じることもありますが、聞き込んでいくほどに魅力を増すような印象を受けます。
このようなバランス重視の整ったサウンドは1万円あたりの価格帯から多く見られますが、3千円台という低価格でありながら高い完成度でまとめてくるところはKBEARの技術力の高い証拠でしょう。
Larkでも細かいところまで聞き込んでいくと気になるところが無いわけではありませんが、価格を思い出した瞬間に全てがどうでも良くなります。

高音は硬質な質感でやや乾いた音を鳴らします。
適度な刺激感と伸びがありながら見通しの良さを感じるスッキリとした鳴らし方です。十分に楽しめるレベルの刺激を残しながら長時間のリスニングでも疲れにくいサウンドに仕上げられています。
近頃のハーマンターゲットカーブを意識したイヤホンでは高音を落とす傾向がありますが、刺激感を僅かに残すようなチューニングがされています。

中音は高音と同様にややドライな音です。KS2の不満点だった中音域の粗をしっかりと解消した癖のない自然な音を鳴らします。
全体的な分離感や明瞭度が高まったおかげで適度な距離感で心地よいと感じます。
ボーカルは厚みがありながら他の音との分離感が良いためボーカル曲も楽しめます。不快な刺さりを抑えながらよく伸びます。

低音はキレと締まりが非常に良く、タイトでレスポンスの良い音を鳴らします。
滑らかな質感と高い表現力を持った低音を適度な量感で鳴らします。聞いていて非常に心地よいと感じる低音です。バラード曲の下支えとして入っている低音からEDMなどの電子音楽特有のタイトな低音までしっかりと鳴らします。

イヤーピースは定番のJVCスパイラルドット、Acoustune AET07、SednaEarfitなどがおすすめです。同じKBEARブランドならKBEAR 07、姉妹ブランドのTRI Clarionがおすすめです。
KS2と比べて僅かに厚みが増しているため、より耳に密着させることで良好な装着感を得られます。Acoustune AEX50を試してみるのもアリかもしれません。

付属ケーブルは4芯銀メッキ線です。TFZ 2pinが採用されているため埋込式の2pinなども使用できますが、2pin端子がやや緩めに作られているためできる限りTFZ or NX7 2pinのケーブルを選びたいところです。
リケーブルするなら8芯銀メッキ線でバランスを保ったまま解像度を向上させる方向も良いのですが、16芯や24芯のミックス線で音の厚みを増やす方向性も良いと感じました。24芯ミックス線のNICEHCK C24-5にリケーブルしたところ、やや湿った質感が追加されることで濃い音へ変化する印象です。

Larkのサウンドは非常に完成度が高く、どんなジャンルでも合わせていける実力派です。
非常に扱いやすくマニアだけでなく入門として最初に購入するイヤホンとしてもおすすめできます。強いて問題点を挙げるとすれば、Larkを最初に買うと次のイヤホン選びに苦労するところでしょうか。